矯正治療について
お子さんの矯正治療を
検討されている方
悪い歯並びやかみ合わせは病気ではありません。
しかし人には個性があって、その個性がやや特徴的すぎると改善しておきたくなる場合があります。お子さんの場合には、必要に応じた矯正を主として、永久歯全体におよぶ矯正は長じて再度判断なさることをお勧めしています。
ただし、次に掲げる5つのタイプは、成長期を過ぎると矯正治療自体が難しくなりますので早めの改善が望ましいです。
奥歯のかみ合わせのずれ
- 来院年齢
- 12歳 男児
- 主訴
- 奥歯のかみ合わせが悪いことを歯科検診で指摘を受けて来院
自覚するような障害はありませんので、歯科医院または学校歯科検診で指摘を受けることがなければ放置されてしまいがちです。
第一大臼歯という、永久歯の奥歯がすれ違いになっていて自然改善は殆ど期待できません。全体的なかみ合わせを支える要の奥歯ですので、比較的簡単に改善できるこどもの頃に改善をはかることが望ましいです。
前歯の外傷性咬合
- 来院年齢
- 7歳 女児
- 主訴
- 前歯のかみ合わせが悪いことを歯科検診で指摘を受けて来院
自然改善を期待したくなるような、軽度の不正歯列のように映ります。
しかし、下の前歯が揺さぶられて、周囲の骨は裂開(裂けて破れていく状態)が進行してしまいます。矯正治療では歯槽骨の裂開は改善できませんので、早めに改善をはかることが望ましいです。
犬歯の萌出障害
- 来院年齢
- 12歳
きれいな歯並びをしていますので、肉眼検診では見つかりにくい現象です。 X線写真では永久歯の犬歯が、前歯の歯根を異常吸収しています。
当該患者さんは12歳ですが、このようなタイプは8歳頃の来院が望ましいです。
奥歯の萌出遅延
- 来院年齢
- 7歳3ヶ月 男児
このお子さんは6歳臼歯(第一大臼歯)が片側でていません。乳歯も早期に抜けているため、左側は6本あるのに右側は4本しかありません。このような左右のアンバランスは成長とともに重度化しますので、バランスを取り戻しておく矯正が望ましいです。
前歯の反対咬合
- 来院年齢
- 小学校低学年
前歯が永久歯に生え変わった後の反対咬合は自然改善がなかなか難しいですので、できれば小学校低学年の年齢で改善させて、成長の軌道修正をしておくことをお勧めしています。
矯正治療の短所
矯正は、 装置の材料としては日進月歩で変化していますが、 矯正の理論や人間の反応は100年前も今も同じです。
矯正は、装置の材料としては日進月歩で変化していますが、 矯正の理論や人間の反応は100年前も今も同じです。
矯正治療には次のような短所があります。
歯根や歯周組織の形態的特徴、患者さんの体質に影響を受けることもありますが、矯正力が適切に作用せずに起こる場合もあります。
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奥歯のかみ合わせのずれ
歯の根(歯根)が短くなる現象です。上の前歯に起こりやすい傾向があります。前歯部の無理な過矯正(出っ歯の無理な改善)、根強い舌癖が原因となって生じることもあります。(*サイトカインIL-1βという遺伝的関与など、原因がはっきりしない場合もあります)
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歯肉退縮
歯肉が痩せてしまう現象です。下の前歯に起こりやすい傾向があります。もともと前歯周囲の歯槽骨が薄い方に起こりやすいです。どうしても避けられない場合には、歯の横幅をトリミングして寄せたり、歯肉の移植術で補う場合があります。
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知覚過敏
歯が冷たいものにしみる現象です。歯の移動中に一時的に起こる場合があるようです。歯の移動に伴う一過性の血流障害が原因という説がありますが、詳しい原因はわかっていません。知覚過敏治療を行う場合もあります、数ヶ月中に自然改善することが多いようです。
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移動が遅い歯
他の歯に比べて、ある歯だけ動きが著しく鈍い場合があります。歯根の形態や歯根と骨との一部癒着(外傷既往)など原因は様々ですが、治療の予定期間に影響しますので、歯槽骨レベルでの移動など計画を練りなおす場合があります。
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治療期間が長くなってしまう
成人の患者さんの中には顎の筋肉が強過ぎる場合や、矯正力に対する反応が得られにくい場合などに予想よりも時間がかかってしまう場合があります。これは事前になかなか予想することが難しいです。
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抜歯が必要となる
前歯が出ている、歯並びがでこぼこなどの現象では、歯のサイズと顎のサイズの調和のために抜歯が必要となることがあります。歯並びやかみ合わせが改善する一方で、歯の本数が少なくなるという欠点があります。
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矯正後に発生する歯列の乱れ
下の前歯、次いで上の前歯で生じることが多くあります。奥歯においては滅多にみられません。発生の程度は僅少ですが、再治療で対応することもあり、また矯正後のアフターケアを長めにしたりするなど乱れを最小限におさえる方法は患者さんと相談をしながら決めていきます。
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金属によるアレルギー
適用できる矯正装置に限界がありますので、矯正の成果にも限界があります。